仕事部屋がほしい女性たち、「家事部屋」にされてブチ切れ…住宅メーカーの間取り提案に「昭和から意識が更新されてない!」
「私の仕事部屋としてリクエストした部屋に『家事部屋』と名前が付けられた間取り図を見せられてブ、ブ、ブチギレ!!!!!」
ある女性による投稿がXで注目を集めています。投稿によると、女性は家を建てようと計画していて、住宅メーカーと間取りの相談をしているといいます。
ところが、「仕事部屋」を要望したにもかかわらず、住宅メーカー側が提案する間取り図には「家事部屋」という名称が記されていたそうです。
この投稿は、同じような経験をした女性を中心に大きな反響を呼び、7万以上もの「いいね」が集まりました。なぜ、住宅メーカーは「家事部屋」としてしまうのでしょうか。
●「仕事部屋がほしいと言ったのに…」
Xに投稿された女性たちの声を紹介します。
「家が完成したら、仕事部屋が『家事室』になっていて、いまだに嫌な気持ちです」
「在宅勤務なので個室がほしいと伝えたら、キッチンにつなげた小さなカウンターを『ワークスペース』として提案された」
「PCを広げて仕事できる部屋がほしいと伝えたら、大手住宅メーカー含めてほぼ全社がキッチンのカウンターを広げた作業場スペースを提案してきた」
「夫と同じ大きさの個室を作ろうとした時に、夫には『書斎』で私の方は『家事室』だった」
「夫には書斎を提案されたし、私にはパントリーを提案された」
こうした間取りの提案に対して、女性たちはモヤモヤした思いを抱えているようです。
●「家事室」人気はあるが…
そもそも「家事部屋」や「家事室」とは一体、どのようなものなのでしょうか。都内のリノベーション会社で、間取りの提案などをおこなっている田島裕香さん(仮名)は、次のように説明します。
「家事部屋や家事室の使い方はさまざまです。たとえば、洗濯機を配置して洗濯物を室内干ししたり、畳んだり、アイロンがけをしたりするケースがあります。
また、キッチン横に配置して、料理の合間にミシンや読書をしたり、パントリーや掃除道具の収納スペースとして活用したりするケースもあります。
いわば“家事の中継地点”のような役割を持つ部屋で、家事の動線をスムーズにするスペースとして人気があることはたしかです。
ただ、最近ではLDKをできるだけ広くとる傾向も強く、『あったらうれしいけど、間取り的に難しい』というケースも多いです。
ですので、リクエストされることはあるけれど、必ずしも実現できるとは限らないというのが実情かもしれません」
●「仕事部屋がほしい」女性が増えている
一方、女性からは「仕事部屋がほしい」という要望がとても増えているとのことです。
田島さんは、次のように説明します。
「仕事部屋にもいろいろな使い方があります。デスクワーク仕事なのか、趣味も含めたスペースなのか、オンラインミーティングのために防音性が必要かなど、どのような位置づけなのか、細かくヒアリングするようにしています。
そのうえで、『家事もしたい』というご要望がある場合、初めて『家事室』としての昨日を持たせていく…というのが自然な流れです。ですので、最初から間取りを提案する際、『ここは奥様の家事室ですね』と最初から決めつけることには違和感がありますね」
●書斎は「男性モデル」、家事室は「女性モデル」
住宅メーカーが公式サイトやSNSで紹介している事例をみると、多くの「書斎」が男性モデルで撮影されています。インテリアも黒をベースにしており、いかにも男性を意識したものになっています。
同様に、「家事室」では女性モデルが登場し、アイロンがけをしたり、洗濯物を干したりする姿が撮影されています。
男性向けには書斎や趣味のための個室を提案し、女性にはキッチンや家事室、あるいは空きスペースのカウンターをワークスペースとして提案する間取りが少なくありませんでした。
こうしたことから、Xに寄せられた声の中には「一部の住宅メーカーは昭和から意識がアップデートされていない」といった批判もありました。
国勢調査によると、共働き世帯は1999年代後半以降、専業主婦世帯を上回っています。
共働き世帯は年々増加しており、総務省統計局が今年2月に公表した「労働力調査」では、専業主婦世帯が508万世帯(前年より9万世帯減)だったのに対して、共働き世帯が1300万世帯(前年より22万世帯増)となり、大きく上回る結果になりました。
また、ワークスタイルもオフィスだけでなく自宅でのリモートワークなど多様化しており、「仕事部屋がほしい」という女性たちの要望は、実態にもとづくものでしょう。これからの家づくりには、こうした実態を反映した間取りが「常識」になっていくのかもしれません。
