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2026年度の米国防総省予算は9,610億ドル。E-7の調達中止やA-10全機退役が発表され、宇宙ベースの能力へ移行。F-35Aの調達数も大幅削減。軍備の再編成が進行中。

(出典 Pixabay:Defence-Imagery)


E-7 (航空機)のサムネイル
E-7 ウェッジテイル トルコ空軍のE-7T 用途:警戒監視・情報収集・指揮管制 分類:早期警戒管制機(AEW&C) 製造者:ボーイング社 運用者 オーストラリア(オーストラリア空軍) トルコ(トルコ空軍) 韓国(大韓民国空軍) 初飛行:2004年5月20日 生産数:14機 ユニットコスト:4億9…
35キロバイト (4,996 語) - 2025年6月27日 (金) 18:38

 

1. 米国防総省の2026会計年度予算発表

2026年の会計年度に向けた米国防総省の予算発表は、多くの注目と議論を呼んでいます。今回の予算要求総額は、追加支出を含めると9,610億ドルに上りますが、その中身には大きな変化が見られます。特に軍備の削減が挙げられます。

E-7の調達中止は、予算コストの増大と現代戦における生存性の懸念が理由とされています。代わりに、宇宙ベースの能力やE-2Dの追加導入が計画されていることが発表されました。この他、老朽化したA-10の全機退役や、F-35Aの調達削減も大きな話題となっています。

2026年度には、263機の航空機が退役する予定です。A-10は162機が完全に退役し、またF-16C/D、F-15Eといった他の機種も数十機単位での退役が計画されています。特にF-35Aの調達数がわずか24機と発表されたことは、軍事業界に衝撃を与えました。

これらの削減は、予算の効率化と安全保障の新たな戦略への転換を図るための決定とされており、特に空軍は古い機体の退役によって新たな投資を行うことを目指しています。しかしながら、これらの計画がどの程度実行されるのかは未だ不透明です。何故なら、詳細な予算が未完成な状況だからです。今後の予算成立過程で、さらなる調整や議論が重ねられることでしょう。

2. E-7の調達中止の背景

E-7の調達中止は、防衛資源の最適化と新たな脅威への対応策を考慮して行われました。この決定の背景には、E-7のコスト上昇や生存性への懸念がありました。具体的には、当初予定されていたコストが5.8億ドルから7.2億ドルへと上昇し、予算効率を悪化させる要因となっていました。加えて、現代の戦闘環境においてはE-7の生存性が不十分であるとの指摘もありました。 これらの要因により、米国防総省はE-7の調達を中止することを決定しました。

その代わりに、国防総省は宇宙ベースのAMTI能力やE-2Dの追加調達への投資を進めることにしました。この方針転換により、新たな技術を活用してより効果的な防衛体制を構築する狙いがあります。宇宙ベースの能力への投資は、将来的な戦略上の優位性を確保するための重要なステップとされています。政府の高官も、E-7の調達中止と新たな投資先の選定について、明確な方針転換であるとコメントしており、国防体制の変革を示しています。

3. トランプ政権下の国防予算の波乱

トランプ政権下における国防予算の編成は、これまでにない波乱を引き起こしました。特に注目されるのは、国防総省が発表した1兆ドル規模の予算編成です。この巨額の予算は、その背後にある政治的な動きと経済的な要素が絡んでおり、非常に注目を集めています。
共和党の主導による追加予算の存在は、この国防予算に大きな影響を与えました。この追加予算は、「Big Beautiful Bill」と名付けられ、1,500億ドルの追加支出を含んでいますが、その資金の配分が焦点となっています。上院と下院での議論の結果、海軍の艦艇調達に対する資金が大幅に削減される可能性が出てきました。
国防予算の背後には、インフレ率の問題があります。現行の経済情勢を考慮に入れると、インフレの影響が予算にどのように表れているのかが問題視されています。たとえば、バイデン政権時代の支出水準に引き続き、大きな予算削減が行われる背景として、インフレ率上昇が影響を与えています。
特に目を引くのは、F-35Aの調達数の大幅な削減です。これにより、空軍の戦力構造がどう変わるのか注視されています。また、E-7の調達中止は現代戦における生存性とコストを考慮した結果であり、代わりに「宇宙ベースのAMTI能力やE-2Dの追加調達に投資する」という方針が打ち出されています。このような決定は、次世代の戦術にどのように影響を与えるのか注目です。
結果として、トランプ政権下の国防予算の編成は大きな混乱を引き起こし、今後の国防政策の行方にも注目が集まっています。この編成が実際の国防力に与える影響を注意深く観察する必要があります。

4. 空軍の老朽化対策と退役計画

米国防総省は2026年度に向け、大規模な航空機の退役を予定しています。
この計画で、空軍は老朽化した263機の航空機を退役させ、予算確保を図る方針です。
特に注目されるのは、A-10戦闘機162機、F-16C/Dの62機、そしてF-15Eの21機の退役です。
これら退役の動きは、単に航空機を減らすだけでなく、新しい技術への移行や予算の再配分を促進するものです。
A-10は対地攻撃能力で広く知られていますが、老朽化が進み、戦場での生存性にも疑問がありました。
そこで、国防総省はこれらを全機退役させる決定をしました。
F-16C/DとF-15Eの退役も、空軍の戦力構造を見直し、次世代の戦闘機F-35への移行を加速する一環とされています。
ただし、F-35も調達数が大幅に削減されることが発表されており、空軍は今後の防衛戦略において慎重な舵取りが求められます。
この一連の退役計画は、現代戦の要求に応えるためのリソースの再配分と、新しい技術環境への適応を目指したものです。

5. まとめ

米国防総省は、最新の2026年会計年度予算において、大胆な軍備の削減を発表しました。
この決断の背景には、予算削減を目的とした軍備再編成があり、特にF-35Aの調達が大幅に削減され、ほかの機種でも大規模な退役が予定されています。
E-7の調達中止やA-10の全機退役の発表は、新たな軍備体制の礎となるものであり、代わりに宇宙基準のAMTIシステムやE-2Dの追加調達に焦点を移しています。
これらは、費用対効果と作戦上の生存性の観点から見直された結果です。
また、9000億ドルを超える予算要求は、実質的な削減として共和党のビルにより成された裁量的予算の影響を受けています。
兵器の近代化と再配置を可能にするためには、新しい政策と戦略が求められています。
軍事力の再構築は、岸田総理のSPA(Strategic Planning and Analysis)による将来の軍事展望と相まって、これからの国防戦略に重要な影響を与えるでしょう。
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