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我々の宇宙はブラックホールの中に閉じ込められている?ジェイムズ・ウェッブの銀河調査 | ニコニコニュース

 


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宇宙の起源について、今までの常識を覆すかもしれない研究結果が発表された。

私たちが存在する宇宙は、実はさらに大きな宇宙にあるブラックホールの内部にあるのかもしれないというのだ。

これは1970年代に提唱された「ブラックホール宇宙論」を裏付ける可能性のある発見であり、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の最新データにより、その理論の信ぴょう性が増した。

さらに宇宙が「特定の方向」に回転しているという観測結果も報告されている。これらの発見は、私たちの宇宙に対する理解を大きく変えるかもしれない。

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ブラックホールの内部に宇宙が存在する?

1915年ドイツ物理学者カール・シュヴァルツシルト氏は、アルベルト・アインシュタイン氏の一般相対性理論に基づき、ブラックホールの存在を数学的に示した。この研究は後に「シュヴァルツシルト宇宙論(Schwarzschild Cosmology)」として知られるようになった。

それから数十年後の1970年代インド物理学者ラジ・クマール・パスリア氏とイギリス数学者I.J. グッド氏が、シュヴァルツシルト氏の理論を発展させ、新たな仮説を提唱した。

彼らの研究によると、ブラックホール事象の地平面が、宇宙の境界でもある可能性があるという。

これはつまり、「私たちの宇宙は、より大きな宇宙にあるブラックホールの内部に存在する」という驚くべき理論で「ブラックホール宇宙論」と呼ばれる。

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この仮説は長い間理論上のものであり、証拠が不十分だった。しかし、最新の観測データがこの理論を再び注目させる結果を示している。

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宇宙には特定の回転方向がある?

なぜかは不明だが、この宇宙にある銀河の3分の2は、時計回りに回転しているそうだ。

この事実は、カンザス州立大学の天文学者チームが、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡による高度深外宇宙調査で撮影された宇宙の画像を分析することで明らかになった。

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同大学のオール・シャミール教授らが、回転方向がはっきりわかる263個の銀河を調べてみたところ、時計回りのものが3分の2を占めており、反時計回りのものは3分の1しかなかったのだ。

シャミール教授は「この結果は単なる統計的誤差ではなく、画像を見れば誰でも違いが分かるほど明確なものだ」と述べている。

もしも銀河の回転方向が完全にランダムに決まるのなら、時計回りと反時計回りの割合はちょうど半分半分になるはずだ。

だが現実の宇宙はそうではなかった。ならば、そこには何らかの原因があって、回転方向に偏りを生じさせているということになる。

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がとらえた宇宙。天の川銀河と同じ方向に回転している銀河は赤く、反対方向に回転しているものは青く見える/Shamir 2024e

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銀河の回転に関する2つの仮説

それが何かは今のところ明らかではないが2つの仮説が立てられている。

1.宇宙はブラックホールの内部で回転している?

シャミール教授は、仮説の1つは「宇宙が回転しながら誕生した」からであるとニュースリリース[https://www.k-state.edu/media/newsreleases/2025/03/lior-shamir-james-webb-space-telescope-spinning-galaxies.html]で説明する。

1つ目の仮説は、「宇宙が誕生したときから回転していた」というものだ。この考え方は、「ブラックホール宇宙論」とも合致する。

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もし宇宙全体がブラックホールの内部にあるとすれば、そのブラックホール自体が回転している可能性があり、それが宇宙の回転に影響を与えているのかもしれない。

この仮説が正しければ、現在の宇宙論モデルには修正が必要になる。シャミール教授は「この発見は、宇宙の成り立ちに関する既存の理論が不完全であることを示している」と指摘している。

2.ドップラー効果による観測のずれ

もう1つの可能性は、「ドップラー効果」による観測のずれだ。

ドップラー効果とは、音や光の波が観測者に対して移動するときに、その周波数が変化する現象のことだ。例えば、救急車が近づいてくるとサイレンの音が高く聞こえ、遠ざかると低く聞こえるのと同じ原理である。

地球が銀河系の中心を回転する方向と逆向きに回転している銀河の光は、わずかに圧縮され、より明るく見える可能性がある。

そのため、望遠鏡で観測すると、逆方向に回転する銀河が実際よりも多く存在するように見えるのかもしれない。

もしこのドップラー効果が原因なら、現在の宇宙の距離測定方法を見直す必要がある。

シャミール教授は「距離測定法の再校正によって、宇宙の膨張速度の違いや、一部の巨大銀河が宇宙の年齢よりも古いと見積もられる矛盾を説明できる可能性がある」と述べている。

だが、同教授によれば、それは悪いことばかりでもないという。

距離測定法の再校正は、宇宙の膨張率のギャップや、宇宙の年齢よりも古いように見える大銀河など、宇宙論における未解決の問題を説明することにつながるという。

JWST が観測した銀河。一方方向に回転しているものは赤で囲み、反対方向に回転しているものは青で囲んでいる Image credit: Monthly Notices of the Royal Astronomical Society (2025)

深まる宇宙の謎

今回の研究結果は、私たちの宇宙観を根本から揺るがすものだ。これらの問いに答えるには、さらなる観測と研究が必要だ。

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡による新たな発見は、私たちの宇宙に対する理解を大きく変える可能性を秘めている。

今後の研究によって、私たちが住む宇宙の真の姿が明らかになるかもしれない。

この研究は『Monthly Notices of the Royal Astronomical Society[https://academic.oup.com/mnras/article/538/1/76/8019798?login=false]』(2025年2月17日付)に掲載された。

References: Study finds Milky Way rotational velocity should be factored in deep space observation[https://www.k-state.edu/media/newsreleases/2025/03/lior-shamir-james-webb-space-telescope-spinning-galaxies.html]

本記事は、海外の記事を基に、日本の読者向けに重要なポイントを抽出し、独自の視点で編集したものです。

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